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■男女を表す象徴の原型
この象徴は、男神の名でもあるマース(火星)と女神の名でもあるヴィーナス(金星)を表す古代の天文記号に端を発している。
∧ これが男性を表す記号だ。簡略化した男根だよ。
この記号は、正式には剣として知られていて、攻撃性と男らしさを表している。
男根の象徴なのに、いまも軍隊で制服の階級章に使われているほどだ。
V 女性の記号はこれとは逆向きのものだ。これは杯と呼ばれている。
これは椀や器に似ているが、より重要なのは女性の子宮の形にも似ているということだ。
伝説によれば、聖杯とは文字通り杯、ただの器だ。でも聖杯が杯だという伝承は、それにまつわる真実を守るための寓話なんだよ。つまり、それよりはるかに重要なものの比喩として杯を使ったわけだ。
「ある女性だということね」(p142)
■マグダラのマリア自身による福音書
そしてペテロは言った。
「わたしたちの知らないところで、ほんとうに主は彼女と語り合っていらっしゃるのか。
わたしたちは態度を改め、こぞって彼女のことばに耳を傾けるべきなのか。
主はわたしたちよりも彼女を気に入っておられえるのか」
レヴィは答えた。「ペテロよ、あなたはいつも激しやすい。
かの女性を敵のごとく見なして張り合っているのが見てとれる。
もし主が彼女を尊ぶべきとなさるなら、それを拒むあなたはいったい何者か。
主はまちがいなく彼女を知り尽くしている。だからこそ、わたしたちよりも彼女を愛したのだ」
「福音書に記されたこの時点で、イエスは自分が間もなく捕らえられ、処刑されると察していた。
だから、死後にどう教会を運営していくべきかをマグダラのマリアに伝えている。
手の加わっていないこの種の福音書によれば、キリストが教会を設立するよう指示した相手はペテロではない。マグダラのマリアだ。
イエスは男女同権論者の草分けだ。教会の未来をマグダラのマリアの手に委ねるつもりだった」
「ペテロがマグダラのマリアをどう思っていたかを、ダ・ヴィンチが熟知していたのがよくわかる」
ペテロが脅しつけるような様子でマグダラのマリアに迫り、刃の形にした手を首へ突きつけている。岩窟の聖母に描かれていたのと同じ、威嚇のしぐさだ!
「ここも見てごらん」続いてラングドンは、ペテロとほかの弟子たちの間を手で示した。
目を細めたソフィーは、そのあたりから一本の手が出ているのに気付いた。
「この手が持っているのは短剣?」
「そうだ。さらに奇妙なことに、手の数をかぞえてみれば、これが誰の手でもないのがわかるだろう。体がないんだよ。謎の手だ」(p162)
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マグダラのマリア |
短剣を持つ謎の手 |
■王族の血を引くマグダラのマリア
ソフィーは驚いた。「ベニヤミン族の出身だったの?」
「そうだ。マグダラのマリアは王族の血を引いている」
「知ってのとおり、マタイによる福音書は、イエスがダヴィデ家の出であると述べている。
つまりソロモン王=ユダヤ人の王の末裔だ。
強力なベニヤミン族と姻戚になることによって、イエスはふたつの王家の血筋を融合させて、王位に対する正当な権利を持つ強大な政治的統一体を作り上げ、ソロモン王に遡る王統を復活させようとした」
「聖杯伝説とは、王家の血の伝説だ。
聖杯伝説がキリストの血を受けた杯について語るとき、それが指しているのは、マグダラのマリア=イエスの聖なる血脈を宿した子宮なのだよ」
「でも、キリストの血が受け継がれるためには・・・」「子供がいなくてはならない」
「それこそが、人類の歴史上、最大の隠蔽だ。
イエス・キリストは結婚していたばかりか、父親でもあった。マグダラのマリアは聖なる器だ。
イエス・キリストの血脈を育んだ杯だった」
シオン修道会によれば、イエスの磔刑時、マグダラのマリアは妊娠していたという。
まだ生まれぬキリストの子の安全のために、パレスチナを離れるしかなかった。
イエスが信頼していたアリマタヤのヨセフに助けられて、そのころガリアと呼ばれていたフランスへひそかに渡り、ユダヤ人にかくまわれた。そしてまさにここフランスで、ひとりの娘を出産した。名前はサラだ。(p175)
サングリアル文書には何万ページにも及ぶ資料が含まれているという。
4つの巨大な櫃(ひつ)に分けて運ばれたという目撃談もある。
そして、その文書が収められた4つの櫃こそ、テンプル騎士団がソロモン神殿の廃墟で発見したものなのね?
■メロヴィング王朝
「でも、聖杯はマグダラのマリアのことなんでしょう?探しているのは文書なのに。
なぜ聖杯の探求なんて言い方をするのかしら」
「聖杯の探求の目的は、マグダラのマリアの遺骨の前でひざまずくことだ。貶(おとし)められ、失われた聖なる女性に心からの祈りを捧げるために、旅を続けたのだよ」
「いつの時代でも、マグダラのマリアを・・・・不当に扱われ、おのれの家系の正当な権利の証とともに葬られた女王を・・・・見つけ出すことだった」
「シオン修道会の会員はサングリアル文書とマグダラのマリアの墓を守るというつとめをずっと果たしてきたのね」
「修道会にはもっと重要な義務もあった。血脈そのものを守ることだ。キリストの子孫は絶えず危険にさらされていた。もし血筋が続けば、イエスとマグダラのマリアの秘密がいずれ明るみに出て、神の子たるメシアは女性と交渉を持たなかったという根本的な教義が揺るがされると教会が恐れていたからだ」
「とはいえ、キリストの血脈はフランスでひそかに受け継がれ、やがて5世紀に大胆な動きを示した。フランス王家と姻戚関係を結び、メロヴィング王朝を創始したのだよ」
ソフィーは驚いた。「メロヴィング王朝はパリを築いた王朝よ」(p179)
今日のシオン修道会は重大な義務を負っている。三重の責任だ。サングリアル文書を守ること。マグダラのマリアの墓を守ること。そしてもちろん、キリストの血脈、すなわち今も生き延びているメロヴィング王家の後裔を守ること。(p180)
■ウォルト・ディズニー
ウォルト・ディズニーは聖杯の物語を未来の世代に伝えることをひそかにライフワークとしていた。生涯を通じて、ディズニーは現代のレオナルド・ダ・ヴィンチと賞賛された。
ふたりとも時代に先駆けた存在であり、比類ない才能を持った芸術家であり、秘密結社の一員であり、そして何より、大のいたずら好きでもあった。
レオナルドに劣らず、ウォルト・ディズニーも作品に秘密のメッセージや象徴をまぎれこませるのを好んだ。
ディズニーがシンデレラや眠れる森の美女や白雪姫といった、いずれも神聖な女性の受難を扱った作品を制作したのは偶然ではない。
象徴学の心得などなくとも、白雪姫が=毒入りのリンゴを食べたために恩寵を失った王女が=エデンの園におけるイヴの堕落を強く暗示しているのは理解できる。
また、主人公オーロラ姫にローズという仮の名が付けられ、邪悪な魔女の手から守るために森の奥に隠される《眠れる森の美女》が、子供向けの聖杯の物語であるのも明らかだ。
《リトル・マーメイド》の中で、アリエルが海中の洞窟に隠していた絵=悔悛するマグダラのマリア(ラ・トゥール)(p187)
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ディズニー映画「リトル・マーメイド」 |
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール作
〈悔悛するマグダラのマリア〉 |
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